シロアリ類(イエシロアリCoptotermes formosanus、アメリカカンザイシロアリIncisitermes minor、ネバダオオシロアリZootermopsis nevadensis 等)
侵入事例
イエシロアリ(Coptotermes formosanus)は、家屋害虫"シロアリ"のイメージを定着させている種であり、数十万頭にも及ぶ大きなコロニーを形成し、木造家屋はもちろん、樹木、特に神社、寺、公園の大木、街路樹などを好んで加害する。もともとはインド原産とも台湾原産とも言われるが、中華人民共和国、台湾、日本など東アジアに広く分布している。本種はさらに貿易物資や特に戦時中の軍事物資とともに大きく分布が広がり、ハワイ、ミッドウェー、グアム、さらに南アフリカ、スリランカ、ケニアにも分布を拡大した。また、アメリカ合衆国本土にも定着し、現在では12 州で猛威を振るっている。
日本への侵入年は古く定かではないが、古い文献の解析から室町時代の御朱印船貿易時代あたり(1600 年頃)に、積荷とともに南方から運ばれてきたのではないかと考えられている(大村・所, 2003)。九州、四国以南では低地のいたるところで見ることができ、本州では暖かい海岸に沿って西は瀬戸内海沿いの山口県の日本海側まで、東は千葉県の房総半島の南部まで分布域を拡大している。また、伊豆大島以南の三宅島、新島、八丈島、小笠原諸島には高密度で分布している。特に小笠原では、1955年、フロリダでこん包されハワイ経由で父島に到着した米軍住宅用の建設資材の中におびただしい数のシロアリと巣が見つかり、その後瞬く間に父島全体に広がったとされている。現在、条例により50km 離れた隣の母島への拡大を防ぐため対策を講じているところである。
アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor)は、いわゆる乾材シロアリ(Drywoodtermite)の仲間で、比較的含水率の低い材での生息が可能である。本種は、1975 年に東京都江戸川区で初発見され、横浜、神戸、大阪といった港湾都市部を中心に被害が報告されている。おそらく輸入材や家具等に付着して日本に持ち込まれ、広がったと考えられる。本種は、気乾材(含水率12 ~ 15%程度)内での生息が可能であり、家屋の被害箇所でも天井や梁といったところが多い。アメリカ合衆国カリフォルニア州では野外の生息も認められているが、日本では家屋以外での生息は報告されていない(大村・所, 2003)。
ネバダオオシロアリ(Zootermopsis nevadensis)は、含水率の高い材や腐朽材に生息するいわゆる湿材シロアリ(Dampwood termite)の仲間である。本種は、2000 年に兵庫県川西市の山林で発見され、定着が認められている。現時点では本種による木造建築物への被害は報告されていないが、今後被害発生及び分布域の拡大が懸念される。
詳細は、農林水産省より
http://www.maff.go.jp/